コロナ全数把握の見直し

コロナの全数把握の見直しは、多くの人が思うほど簡単ではない。

感染症法第12条で、新型インフルエンザ等感染症(新型コロナ)および1~5類の感染症の患者および感染の疑いがある者(下記の第一号で規定されている)を直ちに全数報告することが規定されている。

第十二条 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事(...)に届け出なければならない。

 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者
 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)

ただし、5類の一部は対象から外れている(季節性インフルエンザ)。何度も書いているように、現在新型コロナは、新型インフルエンザ等感染症に含まれているので法改正なしで全数把握を見直すのは難しい。

まず、省令で出来そうなのは新型コロナについての報告項目を減らすこと。氏名と年齢と性別以外は規定されていないので、新型コロナの報告から外すのだろう。これだけでも、ワクチン接種歴などを入力しなくてもよくなるので医療機関の負担は軽減される。

次に、新型コロナウイルスを定点観測に変えるのであれば、第12条に「厚生労働省令で定める場合を除き」という限定があるので、ここを使うしかなさそうだ。とは言え、季節性インフルエンザは第一号の中で定点観測を規定しているのに、コロナはその上位の条文で定点観測にするというはツギハギ感が否めない。

大技としては、新型コロナを新型インフルエンザ等感染症から外してしまうことで、こうすると報告義務がすべてなくなる。つまり只の風邪にしてしまう。これは省令でできる。たぶん、これはやりすぎで、体感的には季節性インフルエンザぐらいの要注意感染症ではあるので、当面定点観測は残したい。

まとめると、全数把握を見直すのであれば、早急な法改正で新型コロナを1類準用から外し、5類に分類し、5類に対して省令で定点観測を定めるのが綺麗。それまでは、厚生省令の運用で定点観測に切り替えるというのが現実的だろう。どうも最近の報道では定点観測ではなく、報告項目の削減になるようだが。

また、話は変わるが、日本入国時の72時間以内のPCR検査も条件付きで免除の方向という報道がある。まだ詳しい情報はないが、緑グループの国からの入国者はPCR検査免除あたりかと予測。搭乗前72時間以内のPCR検査には水際対策としての意味はなくなっているので、早い対応を期待したい。ただし、海外でコロナに感染してしまうと5日程度の自主隔離を規定している国は多いので帰国が延期になる。コロナ対応の旅行保険には必ず入っておく必要がある。最近になって、コロナ対策があるべき方向に進みだしたという機運を感じる。