日本帰国時のコロナ陰性証明

8/15付けで、日本出国前に日本で取得したコロナの陰性証明書で日本に帰国できることになった。

https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2022C069.html

 

これまでは、海外で取得した陰性証明が必要だった。8/15からは、日本への帰国便の出発の72時間以内に検査した結果の陰性証明であれば、日本で取得されたものでもOKということになった。たとえば、日本出国時にPCR検査を受けて陰性証明を取得すれば、2泊3日の海外旅行であれば、その検査結果が帰国時に使えるということ。いわゆる弾丸ツアーが可能になる。日本政府が指定している検査方法に沿った検査結果を日本で取得してから海外に行く限り、確実に予定の日程で帰国できるという大きなメリットがある。

短期のビジネス目的の海外出張者にとって、帰国時のPCR検査が大きな負担になっていた。現地に2日程度しかいないのにそのうちの1日を検査と検査結果の書類記入やMySOSへの入力のために使わないといけないのはかなりの時間のロスになっていた。陰性であっても検査結果が遅れると帰国便に乗れなくなるかもしれないというストレスも相当なものだ。万一、運悪くPCR検査が偽陽性になれば、忙しいビジネス日程の中で滞在国の規定により海外で5~10日間程度隔離されるのは業務上大きな損失だ。政府の高官や企業の取締役にとって、3日の海外出張がプラス10日になるというのは日本の政治経済にとってとんでもない損失である。実際、日本が指定しているPCR検査は敏感過ぎて、海外旅行中に鼻に吸い込んだ周囲の人のウィルスや以前に感染して治っているのに体に僅かに残っているウィルスを検知してしまい、他人に感染させる恐れがなくても陽性と判定されてしまうケースもある。

別の視点から言うと、今海外から帰国時のPCR検査を海外で受けるのが難しくなりつつある。多くの国が新型コロナを特別な病気ではないという扱いに変えていて、欧米の各国が入国の際に検査結果を要求しなくなっている。そのため、海外でコロナの検査機関を探すことが徐々に難しくなってきている。今は海外の大きな空港や大都市には日本対応の検査センターが数カ所あるが、ガラガラの状態で、あと半年もすると海外で日本の旅行者向けのPCR検査を行ってくれる施設が閉鎖され、実質的に入国時のPCR検査の義務付けはできなくなるのではないかと危惧する。

そもそも、現状、日本の感染者数が世界一になっているのに、海外からのウィルスの流入を防ぐための水際対策の意味がどの程度あるのかもわからない。特に搭乗72時間以内の検査結果ということは、搭乗3日前の検査後に感染して、入国する可能性は十分にあって、検査の効果自体に大きな疑問が残る。今のコロナは感染の翌日から(自覚なしに)感染を広げているケースもある。海外旅行する側の立場から考えると、海外に行った人は海外で感染する前に陰性証明を取得しようとするので、海外滞在の初めに検査を受けてから海外を観光するという自然な対策をとるだろう。そのため実質的な陰性証明の効果が薄れている。たとえば、4泊5日の海外旅行であれば、出発前に自主検査で陰性を確認しておき、1日目に飛行機内や空港内で感染対策に十分注意しておけば、次の日(2日目)の夕方に検査を受けた時点では陰性の可能性がかなり高い。この時点で陰性証明を取得しておけば、3日目・4日目に自由に観光して、5日目の昼頃の便で確実に帰国できる。これば旅行者側にとって自然な行動パターンになるが、この行動パターンで旅行する人たちが帰国時に本当に感染していないかどうかは陰性証明では保証できていない。

では、もっと陰性証明の有効期間を24時間などにして厳格化すべきかというと、そうではなく、今のオミクロン株の特性や日本の感染者数が世界一になっていること考えると、陰性証明を義務付けるのではなく、明らかに発病している人には、飛行機の搭乗を遠慮いただくという対策で十分ではないかと思う。国内にいる方が海外にいるよりも何倍か感染リスクが高いのだから、感染リスクの低いエリアから帰ってくる人を厳格にチェックすることに意味があるようには思えない。