5月から5類移行

5月8日から新型コロナウィルス感染症は5類に移行することになっている。実際にどのような法的手続きで進むのか気になった。

まず、おさらいとして、新型コロナは、現在感染症法上の新型インフルエンザ等感染症として規定されている(第6条7)。TVで2類相当と表現されているが、新型コロナの初期は確かにそうだったが、2021年の感染症法改正で新型インフルエンザ等感染症となっている。ただし、少々複雑なのは入院を必要とする人にとっては2類相当の措置ができるように規定を残してあるので、まったく2類相当でないとも言い切れない側面はある。ただ、現時点で、実際には99%の国民にとっては新型コロナは2類相当ではないので、2類相当と呼ぶのは不適切だろう。また、2類相当部分についても実際は感染症法の1類準用規定を用いているので1類相当と呼ぶべきだ。

さて、5/8以降に新型コロナを5類相当にするにあたって、感染症法の改正が必要になるはずだが、いくら調べても第6条7の改正の話を聞かない。どうも、新型コロナウィルスはもはや新型コロナウィルスではない、という頓智のような扱いをするようだ(間違っていたらすみません)。まるで「白馬は馬にあらず」という論法。

感染症法に定義されている新型コロナウィルスは

新たに人から人に伝染する能力を有することとなったコロナウイルスを病原体とする感染症であって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。

と定義されているので、もはや今の新型コロナウィルスは、これに該当しないという宣言を厚労省がおこなうということのようだ。そのため、新型コロナウィルス感染症は、新型インフルエンザ等感染症として感染症法には残るが、今流行している新型コロナに対してこれまでのような特措法もからむような対応はできなくなる、ということらしい。あまり美しくない。ただでさえ今の感染症法は読み替え読み替えでパッチを当てまくっていて、わかりにくいことこの上なく、このままだといつか破綻するのではないかと心配になる。

ともあれ、これで新型インフルエンザ等対策特措法も現在の新型コロナに対しては行使できなくなる。行政的には、コロナの変種が発生したらすぐに元に戻せるようにしているのだろうけど、そこは一旦新型コロナを新型インフルから外して、ちゃんとした方が良いように思う。

さて、これで新型インフル扱いではなくすことができることは分かった。次に5類に入れるのはどうするのか。5類の定義に新型コロナを入れる法改正があると思っていたが、こちらも見当たらない。こちらも感染症法第6条6の九の「厚生労働省で定めるもの」として新型コロナを5類に指定するようだ(5類相当ではない)。このような軽い扱いにしているのは、近いうちに5類から外して只の風邪扱いにできるようにということと、逆に、元の新型インフル扱いに戻す場合も省令で簡単にできるという両睨みの対応だろう。官僚的には正解だけど、やはり1国民としては省庁の裁量でころころ変えるのではなく、必要性が生じたときにその都度国会で審議して法改正してもらいたいところだ。