Look west

コロナの第7派に際してやるべきこと。

 

① 濃厚接触者の特定をやめる

 

以前からここに書いており、また多くの専門家が指摘しているように、オミクロンになって以降、濃厚接触者の特定を保健所が行っているあいだに、濃厚接触者のうち感染していたひとは既に他の人に感染させているので、濃厚接触者と判定した時点では手遅れ。しかも、濃厚接触者として判定された時点で、感染していなかったことが明らかなひとにまで行動制限がかかってしまい逆に害になっている。

 

TVのレポートで、都内のある保育園では、感染した子供が出ると、過去3日間の園内を撮影したビデオを保育士がチェックして、濃厚接触者となる子供をリストアップするのだという。最近の感染拡大の中で、こんな作業が毎日何人もの子供に対して行われているというのは驚きだ。日本でしかこんなきめ細かいことはできないだろう。ただ、このチェックに1~2日かかるとすると、保健所に連絡して、保健所が濃厚接触者を認定して、対象者に連絡するまで3日以上はかかる。結局、無駄なことをしている。今、オミクロンは感染した次の日には発症することが多い。ということで、東京都では、保育園での濃厚接触者の認定をやめた。正しい判断ではあるが、さらにすべての濃厚接触者も特定をやめるべき。毎日10万人感染したとして、濃厚接触者が10倍いると、毎日100万人が自宅待機になってしまい、10日ぐらいで都民がほとんと自宅待機になる。最近、都内で電車やバスが運休しているのは、発病していない濃厚接触者を勤務から外しているからだ。

 

濃厚接触者の特定をやめるには法律の改正や閣議決定などか必要と思われているかもしれないが、積極的疫学調査(濃厚接触者の認定)は都道府県の判断に基づいて保健所が実施するものなので、感染症法上は都道府県知事の判断でやめることができる(厚労省が独自に調査を実施することはできますが人員的にみて全国規模で濃厚接触者の調査をするのは無理でしょう)。

 

② 新型コロナの新型インフルエンザ等感染症への指定をやめる

 

新型コロナは感染症2類相当であるということがTVでは定説となっていますが、実際は1類準用であるので1類相当と呼ぶべき。経緯としては、2021年2月10日の感染症法の改正で、新型コロナは、指定感染症から新型インフルエンザ等感染症に変更されている。厚生省令で指定した一部の新型コロナ患者対して1類が準用されているというのが現状で、大多数の感染者には新型インフルエンザ等感染症として対応している。

法改正時のQ&A:https://www.mhlw.go.jp/content/000737653.pdf

1-1 新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが「指定感染症」から「新型インフルエンザ等感染症」に変更されるが、なぜ変更するのか。また、感染症対策としてとり得る措置に変更はあるのか。

 

>>○ 新型コロナウイルス感染症については、感染症法の指定感染症政令で指定して対策を講じており、指定期限を本年1月31 日から1年間延長したところですが、それ以上の延長は現行法ではできないため、来年2月以降も対策を続けられるようにするためには、新型コロナウイルス感染症を法律に位置付ける必要があります。


○ 一方、コロナウイルスについては、近年SARS やMERS の流行があり、さらに今回のCOVID-19 の世界的な流行を踏まえれば、インフルエンザと並んでパンデミックを起こす怖れの強い感染症であると考えられるため、新型・再興型コロナウイルス感染症新型インフルエンザ等感染症に位置付けて、COVID-19 の流行に対応するとともに、将来発生しうるコロナウイルス感染症に備えることが適切と考えられます。


〇 こうした中で、指定感染症の指定期限(令和4年1月31 日)以降も現在実施している措置を継続できるようにする等の観点から、新型インフルエンザ等感染症に位置づけることとしたものです。なお、厚生労働大臣新型インフルエンザ等感染症と認められなくなった旨を公表すれば、法の適用対象でなくなります。

 

この最後の1文が面白い。今まで、新型コロナを含む新型インフルエンザ等感染症の分類を1類準用から5類相当に変更するには法整備が必要という議論だったが、実際は、厚労大臣が新型コロナは新型インフルエンザ等感染症に含まれないと言えば、それで感染症法にしばられないただの風邪(既存のコロナウイルスによる風邪と同様)扱いにできる。

 

感染症法では、新型インフルエンザ等感染症に以下の項で新型コロナを含めている。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC0000000114

新型コロナウイルス感染症(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったコロナウイルスを病原体とする感染症であって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)

 

ここから考えると、今のコロナに対して、国民のほとんどがワクチンを接種による免疫を獲得し、かつオミクロン自体が生命や健康に重大な影響を与えるとは言い切れない状況では、もはや新型コロナは新型インフルエンザ等感染症ではなくなっていることは明らかであり、厚労大臣がコロナ風邪の一種であると宣言することは単純は現状の追認であり、支障はない。

 

この場合、医療費の負担が問題になるが、今のワクチン接種やPCR検査の無料化も感染症法とは関係なく無料にできているので、同様に特別予算措置で新型コロナの治療費や検査費を無料にできない理由はない。

 

行政が気にしているのは、感染症上というより、新型インフルエンザ等特措法に基づく、非常事態宣言ができなくなることだろう。ただ、現状のオミクロンの感染状況で非常事態宣言や重点措置を出しても、コロナの初期と違って、大多数の国民は気にせず通常生活を送るだろう。つまり、実質的に非常事態宣言や重点措置について初期の頃のような効果はなくなっており、特措法の存在意義もいつの間にか風化している。

 

これだけ過去最高の感染者が出ていても、国民は平然としていて、学校の行事や部活の夏の大会も普通に実施している。夏の甲子園大会を中止にしろとか無観客にしろという声も全然聞こえてこない。これがオミクロンに対する現実。ただの風邪というのは言い過ぎだが、かなり性質の悪い風邪、特効薬のタミフルが発明されるまえのインフルエンザと同様の病気と同様に考えて対応していけばいい病気になっていると国民の大多数が(実体験も含めて)感じているのだろう。