6月からは相互主義に基づくビザ免除でどうでしょう

岸田首相が世界に向かって公約した「G7並みの入国制限緩和」を実現するにあたって、相互主義に基づいてビザ免除を再開すればいいのではないだろうか。もちろん観光目的の入国も認める。現在、対象となる国は少なく、G7各国に加えて、オーストラリアやニュージーランドシンガポールぐらいかもしれないが、これらの国を対象にビザ免除を再開して、様子を見ながら広げていけばいいのではないだろうか。

日本からの入国に制限をかけていない(ワクチン接種者については、隔離期間が無く事前の陰性証明も求めない)国について、その国からの入国には面倒なビザ手続きやPCR検査を求めることの正当性があるとは思えない。国の間の感染状況が異なるのなら話はわかるが、欧米の国の感染者のレベルから見ると日本と同等か日本の方が感染状況が悪い地域もある。変異株の懸念はあるが、変異株というのは海外から来るだけでなく、日本国内で自然発生するリスクも十分もある。日本からの入国制限を撤廃した国は、日本で発生した変異株が流入するリスクよりも入国の活性化のメリットを重視しているのだ。

また、今のビザによる日本入国は1日2万人を上限とした場合には間違いなく破綻する。日本の在外公館(大使館・総領事館)は世界に220カ所あるが、毎日2万人を継続的に受け入れるということは、世界で毎日2万人分のビザ承認をしないといけない。もし、申請に地域的な偏りがなかったとしても、単純計算で1公館あたり毎日毎日約100件の申請を処理しないといけない。公館が休みの日の入国があることを考えるともっと処理数は増える。実際は欧米などにビザ申請が集中して偏りがあるので、毎日1000件ぐらいのビザ審査をしないといけない公館が出て来る。これが通常業務にプラスされるのだから業務量的に無理がある。

また、成田空港で検疫のために7時間~9時間待たされたというニュースもある。平均的には2~3時間ぐらいのようだが、それでも長すぎる。G7並みの入国を実現するためには、先進国からの入国については検疫を撤廃しないといけない。水際対策が効果あった時期は3ヶ月ぐらい前に終わっていて、国内毎日5万人ぐらいが市中感染しているのだから、現時点では水際対策は全く無意味になっている。

ロックダウンが各地で続く現在の中国の状況を見ていると、中国から観光客が来る時期は相当先になりそうだ。今中国から日本に来た人は、多分帰国後に地元で相当な圧力を受けるだろう。また、中国が隔離期間なしに外国人を受けれるとは思えないので、日本入国時のビザ免除も当面は実現できそうにない。韓国も、済州島に限りノービザを始めようとしているが、現状では入国にビザ取得が必要となっている。