オミクロン株の最新解析結果

イギリスのケンブリッジ大学が,オミクロン株はこれまでの変異種よりもワクチン接種者に感染しやすくなっているが,重症化しにくくなっているという研究結果を発表した.肺細胞に取りつく能力が従来株より弱いため肺における重症化が起きにくいという証拠が得られている.

Gupta教授によると,免疫逃避性に関しては,オミクロンの感染を防ぐためには,デルタの場合の10倍の中和抗体量が必要という.ワクチンの2回接種では抗体量が不足する.ワクチンを3回目接種によりこの状況は覆るが,時間とともに抗体は減少する(※ため感染しやすくなるだろう).

肺への感染については,オミクロンのスパイクタンパクの肺細胞への侵食性については,デルタ株ほどの効率性がないという.細胞内に入った後もオミクロンはデルタほど細胞との融合の効率が高くない.

 

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この研究は査読前であるが,重要な結果であるから公開されたということである.この研究結果から,肺への感染が起きにくいことから,従来の新型コロナ株は重篤な急性肺炎を発症すること血中酸素が不足し命の危険が生じていたが,オミクロン株は従来株のような危険は相対的には少なくなると期待できる.これは南アフリカの医師の臨床報告とも合致する.ほとんどのオミクロンの患者が喉の痛みを訴えるが,肺のまで進んだ咳をしていないと報告されていた.(もちろんオミクロンで肺炎にならないというわけではなく,デルタほどの危険性がないということ)

これまで報告されている様々な状況を考えると,オミクロンの患者にはこれまでと異なる治療は必要そうだ.特に肺での感染が拡大してサイトカインストームを起こすタイミングでステロイドの投与を行うところを見直さないといけないのではないかと思う.