医療の崩壊?

 幸い東京の新規感染者数が減少方向に転じ、感染拡大が際限なく続くことはないこと見えてきました。その後また感染拡大があるかもしれませんが、一旦落ち着きそうな様子です。しばらく重症者や死者の増加は続くかもしれませんが、改善方向です。

 

このニュースから導かれる明るい希望は、基本再生産数が8あると言われるデルタ株についても、日本人の行動変容でなんとか実効再生産数を1未満にできるということが分かったこと。もちろん、ワクチン接種による効果もかなり効いているはず。来月末ぐらいには顕著にワクチンの効果が表れるだろう。

 

日本の医療崩壊が叫ばれてもう1年になるが、実は日本の医療は絶対に崩壊しない。なぜなら日本の病院は救急も含めて患者を断ることができるからである。各病院が受け入れを想定している数の患者しか受け入れないので、病院単位では医療は崩壊しない。病院が満床なら患者の受け入れを拒否するのは当然とされている。これは日本では普通のことだが、欧米の病院は入院が必要な患者の受け入れは断らないそうだ。特に急患は絶対に断らない。何人でも受け入れる。

 

日本の医療は崩壊しないが、日本の治療体制は崩壊することはある。つまり治療を受けられない重症者は出るが、各病院はキャパを超えない。医療関係者の大変さは分かるし、適切な治療ができない場合の訴訟のリスクの理解できる。それでも救急搬送の要請は断らないのが本来の医療ではないのだろうか。戦場の病院のようになるかもしれないが、それでも受け入れなければ患者が命を落とすかもしれなければ受け入れるのが人の道ではないのか。これは救急車が搬送する先の病院のことで、小さなクリニックには当てはまらないが、クリニックであってもコロナ軽症者ならどの病院でも診察ぐらいはしてもらいたい。

 

一応、医師法上、正当な理由がなければコロナの患者も治療しなければならないことになっているが、他の病院を紹介するのは違法でないという解釈になっている。それでも患者が治療を求めた場合、果たして病院は受け入れを拒否できるのだろうか。

 

(捕捉)アメリカでも急患の受け入れ拒否はありえます。特に患者が健康保険に入っていることが確認できない場合は拒否されることがあります(高額な医療費を払ってもらえない可能性があるため)。また、急患を受け入れるのは、制度ではなく各病院の方針というか医師としても使命感なので拒否できないわけではない。少なくとも一旦は受け入れてから他の専門病院に回すなどするのが通常のようだ。さらにアメリカの場合は(州によって異なるかもしれないが)救急搬送車が患者の状況によっては病院に受け入れを強制することができる。こういう制度は日本に合っても良い。