抗体カクテル療法

抗体カクテル療法として特例承認された「ロナプリーブ」をコロナ感染者全員に初期段階で投与すればいいという声もありますが、これは机上の空論。

なぜ不可能かというと、そもそも日本で確保されているロナプリーブの数が7万回分程度という噂。1日2万5千人の感染者が出ているので、全員に使うと3日ぐらいで在庫が尽きます。世界的にコロナの感染拡大の中で日本だけ十分な数の特効薬が確保できるというのは夢物語。

しかも、抗体カクテル療法の薬価が最低でも4万円、記事によっては10万円程度ではないかという説もある。このような高価な薬を自然に回復する無症状者や軽症者に使う意味はない。

ポイントは、いかに毎日発生する数十人の重症者になる可能性のある患者を重症化しないうちにロナプリーブで回復させるかが医者の腕の見せ所。この見極めは医者ではない保健所の担当者にはできないし、医師法上保健所がやってはいけない。そのためにも、早くコロナ患者はどの病院にでもかかれるようにして、そこで医師が適切な治療を選択して、必要なら入院の調整をしないといけない。今は、保健所がパンクしていて入院の調整ができていない。保健所がコロナ治療のボトルネック律速段階になっていて、治療を遅らせ重症者を増加させる原因になっているのは皮肉なこと(もちろん保健所の方がこれまで不休で対応されてきたことには感謝していますが、保健所が感染を抑え込めるフェーズではなくなっています)。

中小の病院には陰圧室や隔離施設がないのが診察時の問題になるが、駐車場に臨時のプレハブを置いたり、車で来てもらってそこで診察すればいいこと。医療関係者はワクチン接種完了しているのでほぼほぼ感染しないので、コロナ対応病院の医師がやっているように N95マスクと防護服・手袋等で感染予防すれば十分だろう。

すべての診療科の医療関係者を総動員しないと、今回の感染爆発は乗り越えられない。眼科も耳鼻科も皮膚科も、自宅療養者に対する電話での毎日の生存確認やサポートはできる。

余談になるが、個人病院でコロナを診ないところは、コロナが感染症法上の1類または2類相当であることを言い訳にするらしい。確かに、コロナ患者を診ると以前は医者や看護師の家族や病院そのものへの風評被害というか、差別があったが、今はワクチン接種が終わっているので状況は変わっている。

医師法19条1項「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」

国内の個人病院の中にも、コロナ患者の診療をしている病院が幾らでもあるのに、コロナ患者を安全に診療する能力・技能・工夫がないのだとしたら医師免許を返上した方が良いというと言い過ぎだろうか。