日本のコロナ対策は失敗した?

日本のワクチン接種が遅い,日本はコロナ対策に失敗した,という雑誌やネットの批判記事を見かけます.日本人は,海外が成功しているのに,日本ではこんなにダメだという論調が刷り込まれていて,なんでもこのロジックに当てはめようとします.

 

実は日本は先進国のなかで,コロナ対策が非常に成功しています.まず,ワクチン接種が遅いかどうかを考えるための前提として,下のニューズウィークのグラフを確認する必要があります.

 

https://www.newsweekjapan.jp/stories/2021/06/02/magSR20210603graph-1.png

http:// https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/06/post-96434.php

 

一目瞭然,先進国がコロナワクチンを接種して感染が収まった状態を,我が日本は昨年の3月からずっと維持しているのです.しかもハードなロックダウンを1度もしていません.これを大成功と言わずになんと表現すればいいのでしょうか.これで,これからワクチンの効果がてきめんに表れるのは自明ですので,なんでオリンピックができないとか言う人がいるのか不思議です.医療関係者であっても先が見えていない人もいるのです.昨冬には,インフルエンザとコロナの同時流行が来るから大変だと言っていた医療関係者がいましたが,その前からコロナ対策の影響で,日本のインフルエンザの感染者がほとんどゼロになっていたことを考えると,冬にインフルエンザが流行るわけがなかったのです.

 

話を戻して,うえのグラフは政府の政策とそれに国民が応えて辛抱した結果です.大いに誇りましょう.この状況で医療がひっ迫したというのはちょっと問題かもしれません.この100倍の感染者が出いてたらどうなったのでしょうか.他の国は医療をある程度のレベルで継続できています.国民は医療関係者には感謝していますが,医療関係者も日本が地獄絵図のような医療環境にならず,このグラフのような特別に低い感染状況を生み出した国民の辛抱に感謝して,お互いに健闘を讃えるのがよいのではないでしょうか.

 

さて,主題のコロナワクチンの接種が遅れていることについてですが,事実としては他の先進国から遅れていますが,実はこれは神レベルの最適な選択です.他の国の声を聴くと,日本は賢いから他の先進国がリスクを負ってワクチン接種をした結果を見てから,自国のワクチン接種を始められる,うらやましい,という声がみられる.アストラゼネカのワクチンが低年齢層には向かないということは,実際に接種して血栓症が発症してからわかったことです.

 

まとめると,日本は,感染を極端に抑えて,ワクチンの接種状況を見守り,安全だと分かったところで,一気にワクチン接種を国内で広げるという,これ以上ないような大成功を収めているのです.この状況で,日本のコロナ対策が失敗したというのは100%無理筋です.コロナは日本だけの病気ではなく,世界中で流行しているのです.他の先進国との相対的な比較をしないと意味がありません.

 

イスラエルの例をみても,mRNAワクチンの接種で,変異ウィルスを含む新型コロナには集団免疫ができて,感染者がほとんどゼロになること明らかです.イギリスも1日の新規死者数がほぼゼロになっていますので,日本で高齢者のワクチン接種が終わって,コロナ重傷者数がゼロになる日まであと1~2ヶ月というところでしょう.そうなると,重症者用のベッドも空きますので,過去のインフルエンザ程度の病気と考えて,罹れば治療するという対処法で十分になります.

 

長かったトンネルの出口はもうすぐです.