なんだか今世の中は大きな転換点にいるような気がします。

リーマンがつぶれ他の世界的金融機関も経営が厳しい、JALも資金難、大手のマスコミも経営不振、と不景気な話ばかりです。

特に、実際に生み出している富に見合わない非常に高い給料をもらってきた特権的な業種というのが転換期にあるような気がします。

まず金融関係。まじめにこつこつ実業に融資をしている部門はいいのですが、大儲けをしている、またはまだ大儲けができると思っている部門は問題だと思います。確実にぼろ儲けできる方法など本来は存在するはずないのですから、いまだに巨大な資金を持っている人たちがそれを追いかけているのはとても危険です。

特に、金融派生商品を扱っていて、ボーナスを含めた年収が何千万とある人たちがいます。常識的に考えてデスクでパソコンたたいて何千万も儲けられるわけがないです。もちろん儲かることもありますが、その分損することもあるはずです。いわゆるノーフリーランチというやつです。結局、何千万円もの富を生み出しているわけではないのに、数字の上だけ儲かったように見える方法を手品のように使っているだけです。ある種ネズミ講と似ています。虚の経済がどんどん膨らんで儲かっているように見えるけど、現実が伴っていないのですからいつかは破たんするのです。金融危機を起こしておいて、いまだにそんなことをやっている企業や企業の部門があることは危険きわまりないです。

特に悪質な使われ方をしているのがCDSで、何も規制がないのをいいことに相対でCDSを掛け合って、帳簿上の借金は消えて、さらに儲けているように見えるけども、将来に巨額の損の可能性を組み込んでいるのです。本来はこの損失へのリスクに対する引当金をバランスシートに載せないといけないのではないでしょうか。とりあえず日本では、CDSは禁止にしてもいいぐらいだと思います。あまりにも不透明で、しかもCDSをかけている企業の業績が悪くなるとスワップが広がって儲かるという仕組みになっているので、結果的に経済全体を腐らせる方向に強い圧力がかかる仕組みになっています。極論をいえば、単純な先物以外のデリバティブは相当厳しく制限しないと、近い将来にまた金融危機がきます。もう各国の財政もいっぱいいっぱいですので、もしそんなことになれば本当に大恐慌になるでしょう。変なインセンティブを持たないように、証券や投資会社を含め金融機関の年収は、経営陣も含めて最高2千万円ぐらいまでに制限するべきでしょう。

つぎに航空業界。こちらは実業で儲けているのですが、いまや世界は格安航空会社の時代です。とんでもなく高い給料が払える業界ではないのです。ヨーロッパ内の都市間だと、時間と日にちをうまく選ぶと片道1500円といった飛行機もあります(税金等別)。その代わり機内での飲み物も食べ物もすべて別料金。席の指定も別料金、荷物の預け入れも別料金です。そのうち、機内のトイレの利用も別料金になるとかならないとか。ヨーロッパから日本へ往復の航空券でもうまく探せば税等込で8万円のものもあります。こう考えると、日本の国内線の航空料金は近い将来たぶん半額ぐらいにしないといけなくなるでしょう。とすると、航空業界の給料も自然と現在の半額が妥当な線でしょう。今JALの退職者は月70万円ぐらい年金が支給されているというのですから、これではつぶれてしまうのは避けられないような気がします。JRも、本来ももっと運賃を安くしないといけないのです。それが、有料だった高速道路のために高く設定できていただけです。イギリスだと、鉄道運賃が日時によって大きく変わりますので、場合によっては2時間半ぐらいの距離の特急の運賃が1500円ぐらい(通常は平均7000円ぐらい)のこともあります。感覚的には、東京名古屋間が片道7000円ぐらいで、オフピークのディスカウントチケットだと通常5000円ぐらいで、運が良いと1500円でしょうか。これらは税込み(15%)ですので、日本の新幹線はあと20〜30%ぐらい安くする余地がありそうです。(ただし、時間帯によっては直前の購入だと今より高くなることもあるような運賃体系になると思います)

そしてマスコミ。大手新聞社やTV局もネットの発達のために、経営が難しくなっています。TV業界はTV番組を作るという生産をしているのですから、実業なわけですが、最近は制作を下請けに丸投げして、ただの仲介業になりつつあります。これでは、もし下請けの制作会社がネットで直接番組を流し始めたりとすると、仲介業は不要になります。しかも、今は世界中の番組がyoutubeなどで見られるようになってきていますから、いまのような適当な番組ばかり作っていると、視聴者が離れてきますよ。特にドラマは、視聴者がアメリカなどのドラマに見なれてくると、ストーリの質や、役者のレベルの違いに気がついて、そのうち日本のドラマは誰も見なくなるかもしれません。新聞社ももう社会的使命を終えつつあるかもしれません。すくなくとも異常に高い給料をもらえるような仕事ではなくなりつつあります。最近はインターネット系のニュースサイトの方が面白いし、必要なら生のソースが企業や官庁のサイトから得られます。海外の情報もいくらでもインターネットで調べられます。記者クラブでメモ合わせをしながら、各社同じ情報を流しているようでは、いい給料はもらえません。しかも日本の記者の多くはジャーナリストとしてのクオリティが先進国と比べて見劣りします。以前、中国か韓国の新聞社の日本語サイトの方が、日本の新聞社よりも日本で起きた事件を的確に伝えていたことがありました。いまやそういう時代です。

高い給料を払ってもやっていける業種はこれからどんどん少なくなっていくでしょう。一方、今後は食糧を生み出す1次産業、そして科学技術立国日本を支える2次産業に優秀な人たちが集まって、良い生活ができるようなインセンティブを社会システムに組み込んでいくべきでしょう。