CDSというのは毒饅頭ですね。世界中の金融機関がたらふく食べてしまったのですから根が深いです。

森永卓郎氏の解説が興味深いです。
http://fx-koryaku.com/modules/monthly/details.php?bid=80

CDSは合法的な粉飾決算を可能にする

CDSが毎年倍々ゲームで想定元本を増やしてきた基本構造は、竹森教授の指摘のとおりだと思う。しかし、私はもうひとつの重要な要因があると考えている。

それは、ファンドマネージャーやインベストメントバンカーといった資金運用者の個人的事情だ。彼らの報酬は成功報酬だ。だから、利回りを高め、多くの資金を集めることで、巨額の報酬を得ることができる。

CDSを売ることで莫大なリスクを抱え込んだとしても、損失が発生する可能性があるのは、遠い将来のことだ。仮に債務不履行があったとしても、CDSの売り手は、当面破綻した債務者の支払うことになっていた金利だけであり、債務の元本はもともとの返済時期に支払えばよい。

それは一般的にはずっと先だから、ファンドマネージャーやインベストメントバンカーにとってはどうでもよいことだ。なぜなら、巨額の損失が生ずるのは、彼らが会社を辞めた後になるからだ。そんな遠い将来のことを心配するよりも、当面の収益を膨らまして、高い報酬を取っておくことのほうが、彼らにとってずっと重要なのだ。

もちろん、そうした行動は、ファンドへの出資者や金融機関の株主にとっては、迷惑千万の話だ。順調に収益を獲得していると思ったら、突然巨額の損失が発生し、被害を抱え込んでしまうことになるからだ。

CDS を売っているということのリスクは、貸借対照表には現れない。もともとオフバランスの取引だから、貸借対照表には書きようがないのだ。一方、損益計算書には平時には保証料の収入だけが計上されるので、財務諸表はよくなる。リスクを財務諸表から見抜くことはできないのだ。

つまり、CDSを使うことで、損失の先送り、さらにいえば合法的な「粉飾決算」が可能になってしまうのだ。

しかも企業の業績が悪くなるほどCDSを買った人は儲かるのですから、自社の業績を上げるためには、ほかの会社の格付けを下げようとしたり、悪いうわさを流したり、場合によっては業績の回復を妨げる(または支援しない)方向に向かってしまいがちです。

あえていえば、世界中の人が他人に断りなく勝手に生命保険を掛け合っているようなものでいやな世の中です。

本当はCDSは即座に徳政令で廃止すべきでしょうが、まずはCDSのスプレッドをある時点で全世界で凍結すべきでしょう。