イギリスでは豚フル新型インフル)の抑制に成功しているように見えます。

もちろん一次感染者とその周辺だけに感染を抑えているように見えて、実はそれ以外の人の一般の人のインフルエンザウィルスの型をあまり調べてないだけというオチの可能性はこの国なら十分ありうるのですが、とりあえず公式発表を信じておくことにします。

その前提でなぜうまく行っているのか考えてみると、正確な医学知識にもとづく広報活動のような気がします。

まず、5月のはじめに豚フルに関する数ページの冊子が(たぶん全家庭に)配布されました。これは非常に手回しの良いことです。入校直前レベルの印刷原稿を日ごろから準備しておかないと、印刷してこの時期に全家庭に冊子を配布することは不可能です。そこには、下記のサイトへのリンクとその内容が印刷されています。印刷されいてる内容は簡潔明瞭で、しかも政策にブレや複雑な段階がないので、いまでもその内容がそのまま通じます。

http://www.direct.gov.uk/swineflu

これにより、国民は豚フルかなと思ったとき、どう対処して、どこに問い合わせればいいのかわかります。また、マスクは予防には無効であるとか、どういうときに誰が学校を休校にするかなど、国民が知らなければいけない情報がきちんと盛り込まれています。

しかも問い合わせ先は国単位(=全英+イングランドウェールズスコットランド北アイルランド)のNHSの電話番号になっています。県単位で24時間の発熱相談窓口を急いで作れとかいう通達をしている国もあるようですが、県単位で24時間電話対応施設を持つのははっきりいって無駄です。それよりも全国1ヶ所のコールセンターで対応するほうがはるかに効率的です。

もちろんこういうコールセンターを急に作る必要はなく、日ごろから国民の医療相談のためのコールセンターとして機能させておいて、必要に応じて回線数や対応者を増やせばいいわけです。

また、自分でインフルエンザであるか他の病気かを診断できるオンラインのチェックページも用意されています。

豚フル発病者への対応はとてもクリアーで、基本的に自宅療養。病院には健康な代理の人が行くように指示されます(たぶんタミフルを処方される)。重篤な自体になったら病院へいくように指示するという方法で、だれでも海外から帰国後発熱したら、発熱外来へ誘導という対応ではないわけです。これにより、発熱外来には本当に必要な人だけが来るようになります。

これから全国に新型インフルが広がるについて、日本中のお医者さんが神戸と同様に多忙を極めることになると思いますが、今回の経験をうまく生かして、より効率的で現実的な対インフル政策につながるといいと思います。