ルーズベルト大統領の就任演説の一節、「我々が唯一恐れるべきことは、恐れることそのものだ」が今の日本にはぴったりかもしれません。

バブルのトラウマが消えていないのでしょうが、現実問題として、日本以外先進国の多くの金融機関が巨額の損失を抱えているのに比べて、日本の金融機関は多少痛んでいる程度で、フェータルな状態には追い込まれていないことを認識しないといけません。これならある程度の資本注入で支えられるように見えます。

円高で輸出産業はしばらく不振でしょうが、この数年巨額の円高差益を享受してきたのですから、2〜3年はペースダウンして我慢してもらえばいい。

株価も下がっていますが、さらに下がれば時価会計を特例として1年ぐらい停止すれば、企業も決算を持ちこたえられます。

その一方で、明るい兆しもいろいろあるのです。

これからは輸入型産業を活性化し、雇用を生みだしていけば国内経済も上向いていきます。

国内では実感できないかもしれませんが、この数ヶ月で日本の国民の総資産は相対的に劇的に増加しています。他国の通貨換算では、2007年から比べると通貨によって幅はあるものの1.3〜2倍の価値になっているのです。日経平均は、2008年初めの15,000から現在の8,000円に下がっていますが、ドル、ユーロから見ると3割減ぐらい、ポンドからみるとほぼ変わらない日経平均に換算されます。

計算の上では、企業が賃金カットなどのネガティブな方法をとらずに持ちこたえていれば、今後円高により物価が下がりその分家計に余裕が出るはずです。自動車も材料費が下がるので国内ではかなり安く売れるはずです。ブランド物から生活必需品レベルまで、さまざまな輸入品も安く買えます。先は不透明ですが、もしドルが60円ぐらいまで下がるともっと実感できるはずです。国としては、円が高くなっている間に、石油、小麦、大豆、資源その他なんでもどんどん輸入して備蓄しておけばいいのです。

効果的な景気刺激策を素早く確実に打っていく必要はありますが、実は経済危機を無暗に恐れるよりも、国や企業が早く円高に順応できればそんなに大きな問題ではないのです。