イギリスの賃貸アパートは基本的に期間付きの契約です。

日本だと、いったん契約すると契約期間後も自動更新になりますが、イギリスの場合は契約期間(たとえば6ヶ月)が終わると、再度新たに契約することになります(手続き的には契約書の終了日の修正)。とはいえ、気分的には更新しているのと変わりません。大家さんも、ひとが入れ替わるときに空期間が生じたり、家賃が下がるのがいやなので、家賃を払っている限り延長には普通応じてくれます。

日本と違うのは途中解約ができないことです。たとえば1年で契約すると1年間は必ず家賃を払う義務があります。もし急に他に引っ越すことになった場合は、残りの期間の家賃を払い続けるか、または自分で次の借主を見つけるかのどちらかの選択になります。中には、途中解約の条項がある不動産屋に当たったひとや、契約時に自分で途中解約の条項を入れさせるひともいるようですので、一概に途中解約不可ということでもないのですが。

最近日本でも、イギリスと同様な賃貸契約として定期借家契約というのが9年前に出来たようなのですが、借主側にとってはかなり不利な契約です。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/teishaku/111215-4.htm

Q1 定期借家契約とはどのような契約ですか。

A 従来からある借家契約では、正当の事由がない限り家主からの更新拒絶はできないこととなっていましたが、定期借家契約では、契約で定めた期間の満了により、更新されることなく確定的に借家契約が終了します。

契約期間が終了すると原則退去、途中解約は相当の理由(転勤等)がなければだめ、というものです。従来の賃貸契約では住人側が守られていて、相当な理由がない限り契約更新できたのですが、新しい契約方法では逆になっています。大家さんにとっては、期間が終わったところで次の人を入れていけばいいのですが、住む側にとっては2年先(たとえば)のある日に必ず引っ越すことを義務付けられるのは迷惑な話です。途中解約も延長も原則できないので、かならずある日までに引っ越さないといけないわけです。近所にいいマンションの出物が出ても急には引っ越せないのです。現在のところ従来の契約方法を採用している賃貸物件も多くありますので、そういう方が間違いなく住みやすいでしょう。現状の定期借家契約は問題ありありです。少なくとも、1ヶ月前の通知による無条件解約、および更新時の信用審査による不適格判断がない場合は更新可能ぐらいはできて欲しい気がします。私の不動産屋場合は、更新の際に毎回簡易信用調査のために30ポンドぐらい払わされます。

定期借家契約でも途中解約が可能と言っている不動産屋さんもあるようですが、「可能」といってもいろいろな場合があって、無条件で可能なのか条件付きで可能(=不可能ではない)なのかをよく確認する必要があります。

なぜ日本の定期借家契約がこうなっているかと考えてみると、たぶん賃貸をREITのような証券化投資対象として安定させたいからだと推測します。簡単にいえば、金融危機を生んだ人たちの儲けが確実になるように、日本でも定期借家契約なるものを作ったとも考えられるわけです。一説には、政府は途中解約を一切不可にするような法改正も検討していたとか。URが定期借家契約に切り替えるとかいう話を聞くと何かい〜やな予感がします。そろそろチェンジのときなのしょう。