ドイツでは賃上げ要求が根強く続いているようだ。

ドイツに住んでいるわけではないので、ドイツ人からの伝聞でしかわかってないけど、昨年はDB(ドイツ鉄道)が半年ぐらいにわたって断続的にストライキをしていたようだ。

しかも、その賃上げ要求が31%の賃上げ!!

もちろんこんな要求がすぐに通るとは思えない。通らないからストライキが長期化する、という状態らしい。

ドイツ人に聞いてみた。そんなにストをして国民から支持されるのかと。答えはYES。もちろん、何度もストをされると迷惑だけど、組合が説明の文書を配ったり、コーヒーを配ったりして、理解を求めていることが効いているらしい。

現在はある程度の賃上げが通ったので落ち着いているようだけど、まだストがあるかもしれないらしい。しかも、落ち着いたのは機関士の組合のストで、ほかのいくつかのDBの組合はまた別にストするかもしれないという。

こうして賃金があがり、それが料金に転嫁される。その結果インフレに向かうわけだけれど、かといって賃上げがないと、インフレ分給料が目減りするから、あるレベルの賃上げがあって健全なのだろう。
その反面、賃上げ、インフレの分、ドイツでは工場が東ヨーロッパ諸国に移転するという問題が起き始めている。先日もNOKIAがドイツ内の工場を閉鎖してルーマニアに移すと発表して、ちょっとした政治問題になっている。

年末の日本のTVで、歌舞伎のNY講演を密着取材したものをやっていた。印象的だったのは、公演前日のリハーサルが夜10時の時点でまだ終わっていなかった。歌舞伎の人たちは、10時以降もリハーサルと続けたかったが、アメリカ人の舞台スタッフの組合が断固拒否していた。組合の規則で夜10時以降ははたらかないことになっている。日本では歌舞伎の人たちにとっては舞台スタッフは、何時間でもただで深夜まででも残業するものかもしれないが、アメリカではそんなことありえない。そのことがわからずに「われわれは家族だ。リハーサルを続けされてくれ」とアメリカでは通用しない理屈でごねている姿がとても小さく写る。このままでは、今後歌舞伎のNY公演には、NYの舞台組合は一切協力してくれないのではと心配になる。

このあたりでまたいつもの愚痴にもどるけど、結局日本人は何時間でもただで滅私奉公するのが普通のことだと思っているけど、それは違う。日本が非常に特殊な(ある意味遅れた)スレーブ社会になっていることに早く気付かないといけない。残業代がでなければ帰る。仕事が残っても、次の日にやる。仕事が終わりきらないのは、自分が悪いのではなく、仕事が終わるだけの人員を割り当てない会社や組織が悪い、ぐらいの考えが普通にならないと、国際化のなかで海外からも優秀な人材が集まるまともな社会にはならないと思うのだが。たとえば、イギリスでは、いやな残業はやらないし、job descriptionにない仕事は基本的に拒否する。もし、無理にやらされる環境だと感じたら、すぐに人がやめてしまう。

日本で労働条件が、目に余るほど特にひどいのが、教師とマスコミ、霞が関だろう。このあたりの人たちが、無給残業をやめて、週の労働時間を40時間ぐらいにキチンと仕事を切り上げるようにならないといけない。この分野で、無給残業をさせた管理者を労働基準法違反でどんどん逮捕するぐらいので強硬策があってもいいのかもしれないとの考えも浮かんでくる。