ゆりかごから墓場まで」というと北欧諸国の社会保障を思い出しますが、もとはイギリス労働党のキャッチフレーズ。

第二次世界大戦後に労働党Atlee政権が"from the womb to the tomb" または "from the cradle to the grave" というキャッチフレーズで、福祉国家を築いていったのです。いまでも、「ゆりかごから墓場まで」というよりは、前者の「子宮から墓場まで」に近い制度は残っていて、妊娠から出産までの医療費はすべて無料です(その分、めったにエコーを取ってくれないなど、サービスという面では日本より悪いという評判ですが)。

また、15年ぐらい前までは大学も(ほぼ)無料だったようで、医療と教育に関しては完全に国が面倒を見るという制度でした。今では、大学も日本並みの学費だし(留学生の学費は非常に高い)、NHSの歯医者はどこも新規登録の受付を停止していたり、GPも予約がすぐにとれなかったりと、「ゆりかごから墓場まで」というわけではないですが、それでも日本よりもかなりマイルドな社会になっています。

一時は英国病などと揶揄されていましたが、ポンド危機以降はこのところは安定した景気を保っています(多少不動産バブルという気もしないではないのですが)。