海賊というとキャプテン・クックを思い浮かべてしまいますが、今でもソマリア沖に海賊が出没しています。

「海賊に襲われた中国人船長、撃退までの経緯を語る」を読むと、海賊の様子がわかります。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=1219&f=national_1219_010.shtml
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=1219&f=national_1219_014.shtml

  彭船長によると、海賊と対峙していた時には、家族のことを思う余裕はなかった。まず、海賊を撃退すること、船員の安全を確保すること。さらに、国際的慣習と彼らの報復を避けるために、海賊を殺してもいけない。また、船の重要な装置に損傷を与えてはならず、火炎瓶使用にあたっても、可燃物のそばに投げると火災を起こす恐れがあるなど、考えることは山ほどあったという。

国際慣習を遵守しながら海賊を冷静に撃退したこの船長はなかなかの国際人です。海賊といえども他国の国民なわけで、相当な理由がなければ相手を怪我をさせたり、ましては殺したりできないわけです。

さらに複雑なのは、海賊と呼ばれている人たちは、実はその地域の漁師さんたちで、魚の乱獲に現れる外国漁船をソマリア海軍の代わりに取り締まる自警団を自認していることです。

http://www.the-journal.jp/contents/insider/2008/12/insider_no472somalia.html

「みんな漁師だった。政府が機能しなくなり、外国漁船が魚を取り尽くした。ごみも捨てる。我々も仕事を失ったので、昨年から海軍の代わりを始めた。海賊ではない。アフリカ一豊かなソマリアの海を守り、問題のある船を逮捕して罰金を取っている。ソマリア有志海兵隊SVM)という名前もある」

 海賊行為を働いているのは外国船団であり自分らはそれに対する自警団であるとする彼の主張を、盗人の開き直りと切り捨てるのは恐らく大きな間違いで、むしろここに、ソマリアの内戦終結と政府再建、無政府状態につけ込んだ先進国を含む外国の船団の乱獲や違法投棄の中止、現地漁民らの生活条件の確保こそが根本的解決であることが示唆されている。

海賊側もこれまでのところ、船員を殺すようなことはしていないのです。海自が行けばすべて解決という簡単な話ではなさそうです。防衛省側も十分な準備期間がないままに派遣されることにはかなりの不満があっても不思議はありません。

せっかく海保主導によりマラッカ海峡の海賊を激減させた成功例があるのに、なぜそれに従わないのかとても不思議です。