ノーベル物理学賞南部陽一郎小林誠益川敏英の3氏。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081007-4686911/news/20081007-OYT1T00543.htm

本当に快挙です。日本のトップクラスの大学の理系は十分世界レベル。さらにいつ受賞してもおかしくないひとたちが日本にはまだまだいます。ちなみに日本人3人が受賞とか言われますが、南部氏は新聞報道では「米国籍の日本人」ですのでアメリカ人ですね(深読みすると、国籍に関する法改正前に米国籍を取得されていると思われるので、フジモリ元大統領のように日本国籍も保持されているからこんなもってまわった表現なのかもしれません)。

今回の物理学賞は理論の研究だから紙とエンピツできる研究という説明をいくつか見かけましたが、小林氏のいた高エネルギー研究所などの巨大加速器で実証実験を行なって初めて認められた理論ですので、受賞に至るまでのトータルとしてはものすごい研究費がかかっていることを忘れてはいけません。

できれば理系以外の文学賞、平和賞、経済学賞でも良いニュースを期待しています。日本から最初の経済学賞受賞者が出るのはまだでしょうか。個人的には村上春樹氏に文学賞をとってもらいたいですね。

(追記)
その後、調べてみると南部氏のアメリカ市民権獲得が70年ですので、85年の国籍法改正前にアメリカ国籍をとっています。アメリカは重国籍を認めていますし、改正前には日本も重国籍を排除していなかったので、かなりの高い確率で南部氏は日本国籍を保持していると思われます(プライベートなことですが)。85年の改正時点で重国籍だった場合、明示的に日本国籍の宣言をしなければ、「みなし宣言者」として日本国籍を保持したまま、同時に外国国籍の保持も妨げられませんので、おのずと重国籍になります。

また、南部氏も化学賞の下村氏(アメリカで超有名なコンピュータ・セキュリティの専門家の下村努氏の父親!)もアメリカで研究した成果が認められたわけですが、大学・大学院までの高等教育は日本だったとこが非常に重要なポイントです。大学院教育までは100%国の責任・成果ですが、それ以降は個人の努力(と運)が多分に影響しますから。たぶん、日本のトップレベルの大学のまともな研究室で博士号をとれば、知識や見識的には世界中のどこの大学でも見劣りすることはないでしょう(もちろん個人差はありますが…)。今は、インターネット上に研究に必要な情報が十分すぎるぐらいあふれていますので、極端に言えば、どこの国のどこの大学でどの先生に師事してドクターを取るかは重要だけど、その後どこで研究するかについてはどこの国かは関係ない時代が来ています。逆に言えば、日本に良い研究環境を用意できなければ、優秀な人はみな海外に言ってしまうことになりますし、日本の研究環境がよければ海外から優秀な人材が集まってすごい研究成果が次々に生まれることになります。チャンスでもありピンチでもあるのです。