イギリスという国は不思議な国で、アメリカと違った意味で画期的なことをやってくれる。

特に社会システムやサービスの分野での先進性が顕著だ。

そのひとつの例は、昨年、英EMIがデジタル音楽の配信で、著作権制限DRMを撤廃するという英断を下したこと。どうせコピーされるのだから、曲の販売価格を少し高くして、DRMをはずして売ったほうが得という判断だ。DRMをひたすら守る技術のことばかり考えている日本のレコード会社とはひとあじ違う(この恩恵で日本EMIのアーティストの曲もDRMなしでも販売されている)。

もうひとつは携帯電話サービス。英国の携帯電話会社のThreeが、昨年11月から3 Skypephoneなるものを発売している。プリペイドPay As You Goでも使える。簡単に言うと、Skype!を携帯電話でオフィシャルにサポートしていて、PCでSkypeを使うのと同じように、携帯でSkypeが使える。ただし、Skype-in Skype-outには対応していない。

なぜこれが画期的かというと、世界中のほどんどの携帯電話会社は、いかにしてSkypeなどのVoIPによる通話を携帯でできなくするかに腐心している。携帯通話料収入が激減してしまうからだ。ThreeはSkypeを自ら率先してウリにしている点が画期的なのだ。正確にいえば、通常の携帯音声通話をサーバーでSkypeにつないでいるので、純粋なVoIPではない。このあたりはなかなかうまい。本当に携帯でIP電話をオフィシャルにサポートするとほとんど儲からなくなる。

もうひとつは銀行預金。日本でもインターネットバンキングは盛んだけど、イギリスの銀行は、インターネットでのみ出し入れできる口座の利率を非常に高く設定している。年利で6%程度。たとえば200万円相当のポンドをこの口座にいれておくと、毎月1万円相当の利息がつく。しかもいつでも出し入れ自由(引き出した月は利息がゼロになる)。*1超低金利政策(=経済沈下政策)継続中の日本ではちょっとありえないが、20年ぐらい前までは日本でもこれぐらいの利息はあったのだ。はやく普通のまともな経済に戻さないと日本は大変なことになりますよ。霞ヶ関のみなさん!

なぜ日本にくらべると、のんびりしていて、気楽に暮らしているのに(失礼!イギリス人にもそれぞれ悩みはあるのでしょうが、日本ほどのストレスはないような気がします。たとえば、イギリスの自殺率は日本の1/3で、実質労働時間はたぶん半分ぐらい)、こんなに繁栄しているのかのヒントがこの辺にありそうです。つまり日本の企業は視野がせまく、一部のグローバル企業のトップ除いて、多くの国内企業のトップが未来を読み、大胆に変えていく才覚を持ってないのではと思えてしまうのですが、いかがでしょうか。

*1:為替リスクがあるので、日本からイギリスに資金を移してこの口座を使ったとしても得するとは限らないのでご注意を。