日本では、新卒者を一定期間、試験的に雇用した企業に奨励金を出す、いわゆる「トライアル雇用制度」を検討中というニュースが流れていますが、この制度については運用方法が懸念されます。

というのは、フランスで同様な制度を運用した結果、企業はトライアルで新卒を雇って、奨励金を受け、その学生をトライアル後に採用せず、また次の年、トライアルで新卒を雇って奨励金を受けるということを繰り返すという状態になりました。営利を追求する企業としては、当然の選択ともいえますが。

日本でも、トライアルの名のもとに安い賃金で新卒を1年ごとに使い捨てにする制度として悪用されてしまうと、失業率や就職率の改善にはまったくつながりません。どちらからというと、企業にとっては、正社員を雇わないという方向のインセンティブになりかねません(雇わなければ、次の年にまたトライアルの報奨金が受け取れるので)。この制度の運用は結構難しいです。フランスでの失敗をどう生かすつもりなのかが注目されます。