イギリスの医療制度NHSにはいろいろ不満も多い。

無料なのはいいけど、診察の予約が数日先でないととれないとか、あまり抗生物質を処方してくれないなど、日本と比べるとサービスという面では劣る。しかも、医者が診察時間の枠を超えても無理して診察してくれることはあまりない。

患者の側からは日本の医療サービスの方が良いに決まっているけど、医者の側でから見ると別の側面が見えてくる。日本の医療制度はかなり限界に近づきつつあるようだ。医療費負担の問題以前に肝心のお医者さんが燃えつきはじめているのだ。学級崩壊ならぬ医療崩壊という言葉が使われはじめている。特に、産科崩壊がかなり深刻のようだ。

医局の窓の向こう側
燃え尽きたら
http://www.asahi.com/health/medicalasahi/TKY200707030430.html

結局、日本人特有のがんばりでこれまでの医療サービスが支えられてきたけど、産科医特有の昼夜の区別のない大変さに加えて、最近増えている医療訴訟が足かせになって、がんばるためのモチベーションが保たれなくなってきている。すると産科医が減って、また診療が大変になって...という悪循環に陥っている。直接は知らないのだけれど、イギリスでは胎児が正常な間は助産師さんしか診察してくれないし、あまりエコーのプリントアウトなどももらえないようだ。サービスは悪いがその分、医者は時間を本当にケアが必要な人にむけることができる。人間らしい生活もできる。決してイギリス型は理想形ではないけど、いますぐ日本型の方向修正が必要なことは間違いない。