ヨーロッパの電車の駅では、プラットホームの入り口あたりにあるスタンプ機で切符に日時を印字(validation)しないといけない。これは旅行ガイドブックでも注意されている事なので知っている人は多いと思う。日付入りの指定席の切符を持っていても、validationをしていないと車内検札で罰金数ユーロをとられてしまう。

イギリスではなぜかこのvalidationがない。その代わり電車内の検札やプラットホームの入り口での切符のチェックがよく行われている(地下鉄は自動改札)。そのため他のヨーロッパの国で電車に乗るときにこのvalidationを忘れそうになる。

さて、このvalidationは、ドイツ語ではinvalidationという意味のドイツ語で表現する。つまり切符を使うために日付を印字するという行為に、言語が違うとvalidationとinvalidationという反対の表現が使われる。前者の考えは切符を使えるようにするということで、後者は切符の(他に)使えないようにするという考え方から来ている。このあたりが外国語を勉強するときの難しいところ。言葉が文化や概念に根ざしている。

さらに最近、ドイツでは電車でもeチケットが使えて、eチケットに対してはvalidationをしてからinvalidationするというややこしいことになっているらしい。

先日フランスの地方都市からパリへ戻るTGVを駅で待っていると、突然その電車がキャンセルされた。なかなかその電車のプラットホームが掲示板に表示されないと思っていたら、たままた同じ電車の切符を買おうとしたドイツ人にキャンセルされたと教えてもらった。そうでないとわからなかっただろう。たぶんフランス語でアナウンスが流れていたのだろうけど。結局、別の電車で途中の駅まで行き、そこから元の予定の電車に乗った。時間的には十分余裕があったので、電車を1本ぐらい逃しても困らなかったが、旅行のときには言葉が理解できるというのは大事なことだと改めて感じた。